春
東京都千代田区六番町15 主婦会館プラザエフ
いつもはサックス吹きのおじさんと一緒なのに、今日は女性が一人でフルートを吹いている。足を組んでリラックスした雰囲気なのは、猫を相手におうち時間を過ごしているところかな。
女性が腰掛けているのは、主婦会館の正面玄関前。戦後、「おしゃもじとエプロン」をシンボルに誕生した消費者団体、主婦連合会(主婦連)の本部ビルだ。
なるほど、そこに半裸のおじさんはまずいよね。どんなにいい演奏をしても、「セクハラ」「変態おやじ」と糾弾されること間違いなしだ。
「春」というタイトルの真意はわからないけれど、猫のうっとりとした表情を見ると、おだやかで暖かな春の日の陽だまりのような優しい音楽を奏でているところなのだろう。暑苦しいサックスおじさんがいないから静かに落ち着いて演奏ができるわ、と思っているのかもね。
・「春」、黒川晃彦、1998