八 丈 島
橘 丸
船で島を離れるときには、いつも島影が小さくなるまで甲板で見ていることにしている。だいたいカメラの画角に収まるぐらいになるまでが目安なのだが、八丈島はなかなか小さくならない。
島は八丈富士と三原山、二つの山がくっついたひょうたん型をしている。大島や三宅島は山一つだから、島が二つあるイメージだ。
さらに八丈小島もあるから、全体がカメラに収まる大きさになった時には出航してから30分以上の時が経っていた。
そんな大きな八丈島もいつしか水平線の彼方に消えて、でも、まだ次の御蔵島は見えてこない。360度、見えるのは海と空だけ。何もないけれど、わたしにはそれが楽しい。