浪板海岸駅
岩手県上閉伊郡大槌町吉里々々第10地割
三陸鉄道浪板海岸の駅前に東日本大震災の津波到達地を示す碑と並んで建てられた「備忘の碑」の裏面には、この地を襲った5つの津波が記録されている。規模の大小はあるにしても、百年余りの間にこんなにもたくさんの被害に遭っていることに驚かされる。
二つの間に立つ大きな碑は、昭和八年の津波を記録する「大海嘯記念碑」だ。
駅の南側は谷(浪板川)になっていて、先の震災ではここを遡った津波によってJR山田線(当時)の橋梁が流されてしまった。ほかにも多くの被害があったため山田線の宮古-釜石間は不通となり、廃線も検討されたが、2019年3月に復旧して三陸鉄道に移管。三陸鉄道は久慈から盛まで全長163kmを結ぶ、日本最長の第三セクター鉄道となった。
何事も無かったかのように建つ真新しい駅舎の前で、真っ黒な石碑とその後ろに見える真っ白な鉄道橋が津波の記憶を静かに伝えてぃる。