2026年1月28日(水)

何も語るな、何も記憶するな、全て忘れろ

東京都品川区東品川2-6-10 寺田倉庫G3壁面

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2019年に三信倉庫の壁面に制作された「どこまでも繋がっていく」がビルの解体とともに失われたために、TENNOZ ART FESTIVAL 2025で新作が発表された。

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あらゆる命に繋がる水をテーマにした前作の青の竜に対して、その水が宿る土をテーマとし、命を包み込むもの/土壌の化身として土色の竜が描かれている。地中に張り巡らされた地下茎を思わせる竜の体からいくつもの生命の息吹が芽生えている。

水遊びに興じる子どものような明るくはつらつとした青の竜のイメージは、それを静かに見守る聖母のような神秘的な雰囲気に変わっている。コロナ禍を経た作家の心境の変化が反映されているのか、と思うのは考え過ぎだろうか。

意味深なタイトルは何を語るのか。わたしには難しくてわからない。「何も語るな」と言われるままに下手なコメントはやめておこう。しかし、見ているわたしの心の中に澱のようにわだかまっている何かは「全て忘れろ」と言われても簡単には消えそうにない。

キャプション | 前作をデザインしたマンホール