五箇山菅沼合掌造り集落
富山県南砺市菅沼436 五箇山民俗館ほか

内外の観光客で賑わう白川郷とは打って変わって、五箇山の菅沼集落には人影もなくひっそりと静まり返っていた。もともとが罪人の流刑地であったという由来のとおり、外界とは隔絶された雰囲気の中に数軒の民家が眠るように佇んでいた。

集落の中ほどに塩硝の館という資料館があった。江戸時代の五箇山は火縄銃に使う黒色火薬の原料となる塩硝(※)の国内でも有数の産地であったという。加賀藩の軍事機密に関わる事であるから、陸の孤島であるこの地は最適の場所だったと言える。
合掌造りのあの大きな屋根の中では養蚕が行なわれていた。その蚕の糞とヨモギ・麻などの干草を床下に掘った穴の中に何層にも積み重ねて塩硝の成分を培養していたそうだ。火薬の原料というから山から鉱石を掘り出すのかと思っていたので、それを聞いた時にはびっくりした。
のどかな民話の里みたいなところが、実は軍需産業の一大拠点であったとは。しかもその原料が干草と蚕の糞。そのギャップにめまいがする。
そういえば、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のタイムマシン、デロリアンが搭載していた超小型核融合炉は生ゴミを燃料にしていたことを思い出した。
※ 硝酸カリウム。一般的には「煙硝」だが外様大名である加賀藩では幕府から隠すために「塩硝」の字を使っていた
