入船山記念館
広島県呉市幸町4-6
呉は軍都である。
今も海上自衛隊の基地があり、観光の中心は大和ミュージアム(呉市海事歴史科学館)をはじめとする海軍関係の施設になる。それなりに見どころはあるけれど、わたしには何となく物々しく息苦しく感じられてしまう。
そんななか、軍関係ではあるけれど、それを感じさせない所があるというので行ってみた。
港には背を向けて美術館通りと呼ばれる坂道を登っていく。籔内佐斗司(走る童子とカエル)など親しみのある作家の作品を見ながら歩いていくと、緑に包まれた静かな公園が現れた。公園の中心に建つハーフティンバー様式の瀟洒な洋館は、旧呉鎮守府司令長官官舎だった建物だ。
七つの海を股にかけ常に世界を見ている海軍らしく、インターナショナルな雰囲気が感じられる。軽井沢の別荘だと言われたらそう思ってしまうかもしれない軽やかな空気も漂っている。それでも、玄関の磨りガラスや消火栓の蓋に錨のマークを発見すると、あぁそうかと思う。
裏に回ると、同じ建物とは思えない和風建築があらわれて驚かされた。官舎として洋風の公の部分と、住まいとして利用された和風の私の部分がうまく結合されているところが面白い。
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