ミッシェル
埼玉県川口市川口3-1 川口西公園
ミッシェルは不機嫌だ。
横を向いているけれど、隣に誰かがいるのでも、何か気になるものがあってそっちを見ているのでもない。正面を見るのが嫌でそっぽを向いている感じ。表情は無表情で、「モデルなんて面倒な仕事、受けなければよかったわ。早く終わらないかしら。」とでも思っているように見える。
写真のモデルなら「イイね、それそれ、その感じ」なんておだてられながら前を向いたり後ろを見たり、笑ったり睨んだりするところだけれど、彫刻のモデルはどうなのだろう。どんなポーズをとるのか、彫刻家から細かい指示が出るのだろうか。そして、長い時間じっと動かずにその姿勢を続けていなければいけないものなのだろうか。
彼女は今、「これが終わったら何食べようかしら」とか「昨日見たドラマの続き、あの二人はどうなっちゃうのか気になるなぁ」とか、あれこれ思いを巡らせているのだろうか。それとも坐禅のように頭を全くの空っぽにして、無の境地にいるのか。
ぴくっと動いて棒（坐禅の場合は「警策（けいさく、きょうさく）」というそうだ）で叩かれるなんてことはないと思うけど、わたしにはできない仕事だな。もちろん、そんなオファーは無いけどね。