季の杜に
宮城県仙台市青葉区本町3-9 勾当台公園

ここで会ったが百年目。父の仇、お命ちょうだい。覚悟!
そんな時代がかったセリフが思い浮かぶのは、やっぱりわたしが年寄りだから。実際は二人の間の愛憎のもつれ。あなたを殺してわたしも死ぬわ。そんな場面なのかもしれない。

最初、遠目に見た時には、久々に会う恋人たちが駆け寄って抱き合うシーンなのだと思った。
ところがよく見ると二人は顔を背け合っている。女性は、不自然な右手が気にはなるけれど、布で隠したナイフを左手に持って男性の懐に飛び込んだように見える。男性は驚いて凍りついたような表情を浮かべている。
一体二人の間に何があったのか。どうしてこんな場面が公園の真ん中で繰り広げられているのか。見立て違いかもしれないが不思議な状況だ。
道路を挟んだ西側の公園には、機織りに使う飛び杼を持った織姫の像がある。この二人を見てから織姫を見ると、手に持った杼がナイフのように見えて来た。
